[SFC] ソウル大 海外研修に行く皆さんへ


以下、海外研修に行く方はよく読んでおいてください。 2024/02/08

  

・初日の2日間は、個人フィールドワーク日になります。テーマ、訪問先はすでにスプシに書いてもらいましたが、参考文献をしっかり読み込んだうえで、調査計画を立てておきましょう。 

・出発当日は、飛行機に乗り遅れないようにグループごとによく確認を取り合いましょう。乗り遅れた場合、この日、生協は休みなので、自分で新たにチケットを取らなければなりません。

・換金は韓国の空港でもできますが、渡航前に日本である程度しておくとよいでしょう。私は新宿の思い出横丁界隈でよく換金します。

・必要な人は、SIMカードの購入も早めにしておきましょう(Amazonなどで簡単に買えます)。

・電圧が日本と違います。Cタイプです。各自調べておきましょう。

・常備薬なども準備しておきましょう。

 

さて、いきなり話は変わって、ここで用言の活用について少し勉強してみましょう。

------------------------------------------------------------------------------

海外研修に参加する皆さん

 

こんにちは。朝鮮語担当の髙木です。
いよいよ海外研修が近づいてきましたが、元気に過ごしているでしょうか。

今日は1点、皆さんにお知らせがあります。

 

というのは、我々はこれまで朝鮮語の用言の活用を「語基」という概念により学習してきましたが、
ソウル大の言語教育院の授業では、この言葉を用いずに文法の説明が行なわれます。
なので、今日はこの違いについて簡単に説明しておきたいと思います。

 

海外研修に行かない人は無理して読む必要はないですが、行く人は必ず目を通しておいてください。

 

さて、用言の活用の説明の仕方が異なると言いましたが、ズバリ気を付けたいのは、第Ⅱ語基、第Ⅲ語基における語幹と語尾の境界線です。

 

具体的には、ソウルでは例えば、以下のように説明されることになります。
左が語基式、右が韓国式です。どのような違いがあるか、わかるでしょうか?

 

・Ⅰ-고 →  語幹+-고 (これはあまり問題ないでしょう)
・Ⅱ-면 →  語幹+-면 / 으면
・Ⅱ-ㄹ 테니까 → 語幹+-ㄹ 테니까 / 을 테니까
・Ⅲ-지다 → 語幹+-아지다 / 어지다
・Ⅲ-ㅆ더니 → 語幹+-았더니 / 었더니

 

[メモ1]語幹(어간)とは、用言の基本形から-다を取った形ですね。
[メモ2]韓国式では、単純に「語幹-ㄹ/을 테니까」、「語幹+-아/어지다」、「語幹+-았/었더니」のように書かれることもあります。

 

この例を見てわかるように語基式では、語尾の形は常に一定で語幹が(語尾に合わせて)変化すると考えますが、韓国式では、逆に語幹の方が一定で、語尾が(語幹に合わせて)変化する考えます。

 

具体的な例をあげてみましょう。

먹으면(食べれば)と배워서(習えば)の場合を考えてみます。

 

먹으면は、語基式では、먹다の第Ⅱ語基 먹으に仮定・条件を表す語尾-면がついた形として説明されますね(ちなみにこの-면という形は、母音語幹や子音語幹など、語幹の種類を問わず、全ての用言に付くときに常に一定の形として現れますね)。

 

ところが、韓国式では、먹다の語幹 먹に語尾 -으면がついたと説明されます。
ここで重要なのは、「-면ではなくて、-으면が結びつく」ということです。なぜだかわかりますか?

 

そうですね、それは韓国式では、語幹は「먹」で固定されているため、そのまま語尾 -면を付けることができないからです(我々はもう먹으면という形が作れるので、먹면×とはならないことを知っていますね!)。

 

つまり、韓国式では、仮定・条件形の語尾は、-면か-으면との2種類が用意されており、前につく用言が母音語幹か子音語幹かによってどちらかが選択される、と考えればよいわけです。

 

では、배워서の場合はどうでしょうか。
これは、語基式では、배우다の第Ⅲ語基 배워に理由や先行動作を表す語尾-서がついた形だと考えますね。

 

一方、韓国式では、배우다の語幹 배우に語尾 -어서がついたと考えます。
やはりここで重要なのは、「-아서ではなくて、-어서が結びつく」という部分です。

 

どうしてそうなるかは、もうわかりますよね?それは語幹 배우が陰母音語幹(語幹末母音がㅏ, ㅗ 以外)なので、それに合わせて「-어서という語尾」が選択されてつくのだと考えるわけです。

 

まとめるとこんな感じです:
먹으면 :(語基式)먹으+-면 ⇔ (韓国式)먹+-으면
배워서 :(語基式)배워+-서 ⇔ (韓国式)배우+-어서[縮約あり]

 

どうでしょうか。
全く同じ活用を説明するにも2通りの方法があることがわかったでしょうか。

 

実は語基というのは、日本語の学校文法(未然、連用、終止…)のような活用の説明方法からヒントを得て
日本の学者が作った概念で、本国では一般的ではないのです。
(ただし、日本語話者への教育上の効果では、語基式が遥かに能率がよいと考えているため、
SFCや日本の様々な大学ではこの方法を採用しています)

 

結局同じことを説明しているわけですから、そんなに難しく考える必要はありませんが、
初日の授業で戸惑わないように念のためお知らせしました。
(ちなみに朝鮮語スキルの授業では、もちろん語基式で授業が行なわれます)


さあ、いよいよあと少しで楽しい研修が始まります!
この機会を最大限に生かして、大いに楽しんで有意義な時間を過ごして下さい。